2021年02月20日

新版画の魅力「笠松紫浪展」

笠松紫浪展図録
笠松紫浪展図録 posted by (C)いむっち

「没後30年記念 笠松紫浪 ―最後の新版画」に行ってきました。

不要不急の云々・・・で、越境外出は完全自粛しているのですが、
美術館が休館せずに展示スタートしていることと、
約130点の展示が前期後期で全点展示替えしてしまう!!ということで、
前期展示が終了するギリギリのタイミングで訪館に踏み切りました。
迷って迷って、覚悟と感染対策をして決断。

原宿・・・表参道・・・青山・・・実はあまり気が進まないエリアですが、
太田記念美術館始め、根津美術館や岡本太郎記念館などたまに行きたくなる美術館がありますのでね(@_@)
山種美術館も渋谷へ移転してしまってすっかり行きにくくなってしまいました。

もとい。

子供のころから棟方志功の版画や、藤城清治、滝平二郎の切り絵が好きでした。
いや、親が好きだったのかも(笑)
少し成長して谷中安規などもおもしろがって見ましたが、
学生時代に消しゴムハンコを作り始めたのも好きだった版画や切り絵が影響しているのかもしれません。

時代小説にはまって浮世絵にも興味を持ちましたが、
川瀬巴水を知って、江戸の風情と現代とのつながりを感じるとても不思議で淡く繊細な新版画も好きになりました。
小林清親、川瀬巴水などはずっと人気があるようですが、
数年前から小原古邨がとりあげられたり、
現在東京都美術館では「吉田博展」が開催中(これも行きたい我慢中)、
大正以降の木版画「新版画」の盛り上がりを感じます。
その中での「笠松紫浪展」です(´▽`)

展示作品は美術館所蔵ではなく、版元である渡邊木版美術画舗や芸艸堂、個人所蔵品が集められ年代を追っての展示。
また次回、という機会は簡単にはなさそうです・・・。
それだけに、観たかった!

20代から60代の作風や版元が変わっての経過も見どころですし、
木版画ならではの彫り師、摺り師のテクニックも感動的です。
版元のイニシアチブが結構影響があり、たまに摺り師さんの好みがちょっと入るなんてこともあるそうですが、
鏑木清方に師事して学んだという日本画のセンスがそもそも「原画」に爆発していると思いました。

浅草寺の大提灯、神田明神、東京タワー、銀座、鎌倉八幡宮、東照宮・・・
行ったことのある場所、現在そのままの景色が残っている題材の版画は、特に作品に向き合う温度がぐっと上がります。
ここが、浮世絵的な技法が感じさせる「江戸」と、「大正・昭和初期」を通して、自分の日常である「現代」が同時成立して交差する何とも言えない特別な感覚に陥る瞬間です。
「新版画」に魅かれる理由の一つです。

技術的には、和紙の性質なのか、影やハイライトの付け方なのか、
三日月や雲、積もった雪などはエンボス加工したように盛り上がって見えたり、
水面はモネやルノワールの印象派の筆のタッチを見るようで、
近づくと点や線、離れると形や存在が立ち上がる、というような発見もありました。


展示室にいらした学芸員さんにもいろいろと質問し、丁寧に教えていただきました。
顔料は戦後では外国から輸入されているものを使っていたりするそうで、
外国で作られた色で日本の風景や気候を色づけているというのは興味深く不思議な感じがします。
江戸の浮世絵などは、木の実をすりつぶした顔料など天然の物も多く、光や経年によって褪色が進んでしまうのだそうです。

また、当然ながら版画はたくさん摺るものなので、今回展示されているものは条件よく保存されてきたその中の一枚が、集まっている。摺る時期によっては色調が違うこともある、ということ。やっぱり、という答え合わせもありました。
そういう意味では、今回芸艸堂さんの「見本摺り」というものがたくさん展示されていて、
これはいわゆる色見本として最初に摺るものだそうで、オリジナル作品が見られたという充足感がありました。

学芸員さん、お仕事中にすみませんでした(´▽`;)

後期展示が終わる前に緊急事態〜、解消されるといいなあ。
我々は日々、健康維持、予防に努めるのみですね。

(およめ)

笠松紫浪展!
笠松紫浪展! posted by (C)いむっち


posted by 仏ッチ at 19:40| Comment(0) | 美術・ミュージアム・パーク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする